ジイちゃんは限度を知らないというか、手あたり次第的にかなりの数のパンを買ってくる。
中には誰も手をつけない不人気商品も。
ある日、俺が見た時に残ってたのは『まぁ、これだろうな』な2つ。
レーズンの入ったパンと、イチゴだかリンゴだかのジャムパン。
イチゴだかリンゴだかは買ってきた本人も知らないって。
男ばっかりの職場で、ジャムの需要はないですわ。
『調理パンにしようよ~』と、買ってきてもらって文句を言ってみる。
それはそれで置いといて。
そこにいたシルゾーに『レーズンが嫌いだったのって、おまえの娘だったっけ』と聞いてみた。
『そんなことはないと思うけど』
『身近なところに「レーズンが嫌い」って奴いなかったっけ?』
『いたような気が・・・あ!』
『誰?』
『・・・俺だ』
どうだい?