午前6時37分

一年前、病院へ向かった朝の道を通る。
当然のように空気の匂いもあの日と同じだが、『私の時計で6時37分です』という主治医の無情な声はリセットされないままだ。

そしてまた、あの日と同じ道を帰る。

違ったのは、低く垂れこめた雲と、親父の肉体がそこに無いという事だった。