そんなヒロシに騙されて

ヒロシです…。
ヒロシがいたとです…。

昨日の披露宴、名簿を見たら同じ会社の奴だらけだったとです。
よく見たら、何年か前にウチの部署から飛ばされたヒロシの名前があったとです。
飛ばされることがすでに決まってた時、本人だけがそのことを知らずに『あの仕事も覚えなきゃ』って言ってたのが痛かったとです。
みんな、心の中で『いや、もう覚える必要はないんだよ…』って言ってたとです。

披露宴の始まる時間が近づいた頃、エスカレーターを昇ってくるヒロシが見えたとです。
一応、挨拶したとです。

『あれ、どうした?』
『いや、従妹なんすよ』
『あぁ、そうかぁ。で、どんな関係?』
『だから従妹…』
『違う部署で呼ばれてるの、おまえだけじゃね?』
『だから、俺は会社は関係なく、“親戚枠”で…』

ヒロシです…。
この間、ずっと立ち位置が近いとです。

披露宴終了後、俺の脇腹をポンと叩いて去っていったとです。
懐かしかったとです。