俺は捨てられた仔犬のように、シルゾーが見えなくなるまで、その後ろ姿を目で追いました。
しょうがないので、雨の中を歩いて体育館に向かう。
『もう汁男さんは絡みたくないんじゃない?』が頭の中でリフレインする。
『あぁ…そうかもしれないな…』
冷たい雨が地面を叩く音がタイガーマスクのエンディング曲に聴こえるよ。
合同朝礼が終わったあと、休憩室で会ったシルゾー、『あれ?朝礼出てた?』って。
今更、『あれ?』があるかよなぁ。
俺は部署の廊下から靴箱、玄関まで、おまえのすぐ後ろを歩いてたよ。
♪あたたかい人の情けも~
胸を打つ熱い涙も~
知らないで育った僕はみなしごさ~