ウチの母親とアイータは、いつも俺を置き去りで長々と話している。
母親は、死んだ親父が俺とアイータを引き合わせてくれたと語ってるらしい。
もしも親父が引き合わせ屋なら、もっと近くでどうにかならなかったものかね。
おかげで、今後は東名高速の帰省ラッシュをリアルに食らうドライバーだ。
アイータなんて、いつも『“オナラカード"で一人だけ関東に飛ばされた』とか言ってるよ。
しかし、女の井戸端会議は中身もないくせに恐ろしい。
俺は過去の女たちを綺麗さっぱり、時には冷酷なまでに整理して、わざわざ名古屋から嫁をもらった。
と、俺が99%ぐらいデフォルメして言うのを、アイータはそのまんまウチの母親に言うのだ。
『何言ってんだ、あのバカ』はウチの母親じゃなくても言うだろう。
女の井戸端会議は、自分の知らないところで怪我をする。