たまたま通りかかったからという理由で、アイータと二人で寝たきりだったジイさんの家に寄ったのは、ジイさんが死ぬ数日前。
俺がアイータを結婚相手として紹介して以来、ジイさんはアイータのことを気に入ってる様子だった。
アイータは全体的に親戚受けがいい。
ジイさんは寝たきりになってから、ずっと俺を心配していて『嫁を探してやる』と言っていた。
いい歳こいた独身の内孫が二人もいるのに俺の世話を焼いてるのは、俺が親父を亡くしたからだと。
そんな俺が結婚するというのをずいぶん喜んでいた。
ジイさんの家に寄った数日後にアイータは入院→出産ということになって、退院を待たずに逝ってしまったので残念がっているが、あの日、たまたま家に寄って身籠った姿を見せ、死ぬ直前に無事に男児出産の報を聞かせられただけで充分だ。
っていうか、俺、ジイさんから一人も紹介されてない。