大きな古時計

f:id:meihowa:20200521221314j:plain

これを書いてるのは2月23日。

出産直後のアイータはまだ入院中。

 

俺は火葬場で天に昇る煙を見ている。

 

2月21日の夜、寝たきりになっていたジイさんが死んだ。

 

妻の出産から2日間病院に寝泊りしていた俺は、3日目、家に帰る時に危篤との知らせを聞いた。

そのまま、別の病院へ急行。

俺の到着を待って医師が死亡確認をした。

 

ジイさん、死ぬ直前までアイータのことを気にかけてたって。

妊娠中のアイータを見て『男だな』と予想してたジイさんは、無事に男児を出産したことを聞いて、それで安心するかのように死んだって。

 

焼かれたあとのジイさんの骨はほとんど残っていない。

これで何年も生きてたんだねぇ。

 

現時点では、アイータにはこのことは伏せている。

未熟児で生まれた俺たちの子供は、このジイさんが見ていてくれるから大丈夫だろう。