夜明け前、小梅はミルクを飲み終え、スヤスヤと寝息をたてている。
8年前の同日同時刻、親父の容体は急変し、その後、息を引き取った。
いつの間にか俺は父親になり、あれからずいぶんと月日が経ったことを実感する。
今日は親父の名前から一文字もらって名付けた小梅を連れて墓参り。
もしも生きていたら、親父の名前を付けようなどとは少しも思わなかっただろう。
来月、小梅は新幹線に乗り、名古屋のジイちゃんとバアちゃんに初めて会いに行く。
えらく可愛がってくれるであろう光景は想像にたやすい。
『ウチの親父も生きていれば…』と考えるのは自然だ。
そして、小梅は親父の遺影がある部屋で今日も『オギャ~!』。