9年も経つと訪ねてくる人もないようで、実家へ行くといつもと変わらぬ光景。
線香を持って、親父の墓参りに行く。
いつだったか、甥っ子が『ジイちゃんはボクが生まれる前は生きてたんでしょ?』と言っていたが、俺の記憶の中にいる親父を知らないんだわなぁ。
もちろん、それよりずっとあとに生まれた小梅も。
あの“千の風になって”という曲。
そんなことはないよな。
私ならお墓にずっといます。
面倒くさいので、死んでまで動きません。
というわけで、今、墓の前で意味もわからずに手を振っている小梅のことを、親父はここで見ていることでしょう。
ほら、俺の子供、可愛いだろ?