いちばん最初に成立し、ステージに上げられた甥っ子。
一等賞品はそもそもそれが欲しくてビンゴに挑んだニンテンドーDSi。
しかし、同時一位がほかにもう一人。
決勝はジャンケンらしいが、一等賞品以外はどうでもいいモノばっかり。
ここで甥っ子は渾身のグーを出し、ジャンケンに勝利したわけですよ。
『すげー!』なんだけど、ここからが大変。
司会のお笑い芸人に名前を聞かれたあと、賞品を掴んで早々にステージを降りる。
もうちょっと勝利の雄叫びを挙げてもいいのに、ステージを降りてからずっと放心状態で、何を話しかけても一言も口を開かない。
『ボクはジャンケン勝ったよ』
『今さら「やり直し」とか言われてもヤダよ』
『誰かに狙われてない?』
賞品を両手でしまい込むように胸元へ隠しながら、いろんな疑いが入り交じってる様子。
それは家に帰るまで続き、車の中でははじめて新幹線に乗った時と同じように、冷静を装って、眉間にシワを寄せながら窓の外を見てる。
ダメだ、アイツ、気がちっちぇー。
『誰に似た?』っていうより、ウチの家系の各々の特徴を凝縮して伝承した感じ。