結婚してから、夏は別の町の花火大会から始まるものだったが、今年は津波で壊滅的な被害を受けて中止になった。
自粛ばかりでは何も生まれないとは思うが、実際にそこの光景を見てしまうと、花火大会なんて有り得ないぐらいの惨状。
今日は地元の花火大会。
これは例年通りに開催すると。
これから夜勤だというのに、見に行った。
ここは小さい頃に住んでいた家から徒歩20秒ぐらいのところなので、懐かしい顔もちらほら。
すぐ隣に住んでいたオバちゃんがいたので話しかけてみたが、すぐに俺だとはわからなかったみたい。
そりゃ、小学生だった者が40歳になって、小梅の手を引いてりゃわからんだろう。
毎年、この花火大会には書いてるが、やっぱり頭に浮かぶのは、俺がまだ小さくて、親父も生きていた頃の普通の日常。
頭の中では俺の少年を見ているのに、そこには小梅がいるという不思議さから、ギュッとしたくなる。
『お父さんのところに座る?』
『すわらない』
何か、違う。