彼岸なので墓参りに。
小梅、“南無じいちゃん”の墓の場所を覚えているし、手を合わせて『なむじいちゃん、きたよ』なんて言うし、いい子に育ってますよ。
以前は急に走り出したりしてたけど、最近は注意されると理解するようになってきたし。
と、安心した矢先に走り出した。
もう大丈夫だと思っていたら甘かった。
言うことを聞く時は興味のある対象物がないことが条件みたい。
向こうの方に同じ年格好の女のコ。
『まずい』と思った時には遅かった。
小梅、幼稚園の同級生に抱きつかれて倒されるってのを毎日のように食らってるせいで(愛情表現らしいが)、いつからか自分もそうするようになり、ここでも『止まれ』の声を無視して、女のコの背中から抱きついた。
支えきれない女のコは墓石側に倒れたため、少し距離が違っていたら大怪我をさせるところだった。
もう、ただただ謝るしかないじゃない。
女のコを連れていたのがバアちゃんだったために『怒らないでやってよ』なんて言われて、『すいません』で済んだが、こっちは小梅を甘く見てたことの反省と迷惑をかけたことで、朝から気分が悪い。
“おりこうさん”と“おバカさん”を行ったり来たり。