夜勤から帰ろうとしたら、車のエンジンキーがまわらない。
インテリジェントキーっていうの?
それの電池が切れたようで。
ドアは“ただのキー”でも開けられるけど、エンジンはキーを挿すところがなく、電池切れごときで立ち往生なんて、Wi-Fiの接続方法がわからないから調べようと思ったら、“詳細はインターネットで”と書いてあるくらい本末転倒じゃないか。
会社の備品の電池は大きさが違うし、『いや、キーを挿せるはず』と言う者もいるし。
鍵穴がないって言ってるじゃないか。
結局、乾電池と同様、手のひらでスリスリしたら動いた。
『大変だったぜ』とアイータに電話したら、『もしもの時のためにキーを挿すところがあったんじゃない?』と、ほかの連中と同じことを。
『だから、鍵穴がないって言ってるじゃな…あ、あった…』
カバーがスポンって外れ、あっさりと鍵穴出現。
ほら、俺だけが泡食ったみたいな形に。