だんごむしの唄

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『このダンゴムシ、2時ぐらいからずっとこうやってもがいてるんですよ』と一人が言う。

 

先週の夜勤はやることがなくて、2時ぐらいからずっとこうやってボーっとしていた午前6時。

 

喫煙ブースの椅子が撤去され、だけどヒマを持て余してるので、床に座って尾崎豊みたいに壁にもたれてそんなことを言い出したものだから、そこから寸劇がはじまる。

 

『そうか…、おまえもつらいのか…』

 

うん、いつ事業撤退と言い出すかわからないくらいの状況だものな。

 

『おまえもやりきれなさを抱えてるんだな…』

 

そう言って、その一人がダンゴムシを逃がしてあげた。

 

みんな、ダンゴムシと自分を重ねて笑えないらしい。

 

俺?

俺は知っかよ。

もともとが詐欺に遭ったようなものだし、この状況も簡単に想像がついたし、帰るところに帰るわ。