『中学の卒業アルバムある?』とアイータ。
何でも衝撃事実が判明したとかで。
もしかして、幼稚園に入園した子のおかあさんがボクと同級生で、実はボクのことを好きだったとかいうヤツ?
『いいから見せて』と理由を言わない。
卒業アルバムなんて奥の方にしまってあるのに面倒くさい。
引っ張り出して渡すと、黙って別の部屋に行く。
早く、その衝撃事実とやらを言えや。
しばらくすると一人の女子を指し、『この人』と。
その“この人”は喋った記憶はないが、まぁ、知ってる。
それがどうした?
二年間、小梅に付きっきりで、どうでもいい話を聞いては調子が狂って頭を垂れ、遺伝の関係で軽く標準体重超えの小梅のわがままを聞いて抱っこして、おんぶしてまた明日だったあの先生は“この人”だったらしい。
はぁ?
何故、今さらかと言うと、小梅の担任に聞いたんだそうだ。
その先生、この春、幼稚園を去ったんだよ。
いなくなって事実を知るとか、大映テレビの最終回ですか?
う~ん、二年間見ていてまったく気付かなかったし、中学の頃の空気感と今のそれとがまだ一致しない。
ボクちゃん、簡単に女に騙される気がしてきた。