昭和52年の夏。
ボクちゃん、小学一年生。
家庭の事情だったのか、体質なのか、発達の程度の問題だったのかは知らないが、プールの授業はいつも見学をしてた奴がいた。
多分、一年生のうちに転校したので、今となっては顔も名前も覚えていない。
だけど、強烈に残ってる記憶があるんだ。
その日も彼はプールの授業の見学をしていた。
そろそろ授業が終わるという頃、そいつがじゃれてきて。
俺は『何だ、オマエよぉ』って感じで肩をポンと押したんだ。
そしたら、彼はマンガのように手をバタバタさせてプールに落ちた。
先生に凄く怒られたよ。
『どうしてこんなことをするんだ!』って。
“どうして”じゃないんだよな。
ただ、じゃれ合ってただけだから。
落とすつもりなんか更々ないし、プールに入れない子だというのも理解してたから。
…続く。