二階にいたら、えらい揺れた。
震度4ってことだけど、震度5弱ぐらいかと思ったよね、実際。
マグニチュードが大きいヤツは揺れてる時間も長いから気持ち悪い。
3.11だって、『あれ?長いな』って思ったところから強烈なヤツがきたし。
とにかく、一階に降りてみたんだ。
それたら、壁掛け時計が落ちて、こう。
3.11でも落ちなかったのに。
今の家に住み始めた時からずっと動いていた時計。
親父が生きていたあの何でもない日常も、小梅が生まれたあの日も。
時計が止まるというのは、何とも形容しがたい感覚があるのだよ。
頭の中で大きな古時計が流れてる。
とりあえず、割れたガラスを片付け、外れた振り子を時計に付けてみる。
ふたたび時を刻みはじめた。
“今はもう動かない、その時計”じゃなくなって、何か、ちょっと調子が狂った俺がいる。