『打ち合わせがあるので、帰りがちょっとだけ遅くなる』とアイータには言っておいた。
結果、ちょっとじゃ済まなかった。
ちょっとじゃ済まなかったのは、ヒゲ男爵が気になったマンホールの話をみんなに理解してもらいたいという話に辿り着けないシルゾーのせい。
坂があって、自転車があったら、『この長い長い下り坂を~』の“夏色”にならないところからの話な。
『自転車のタイヤ跡、ヤバくね?』とかを置き去りにしたから、マンホールまで行く気配もない。
わからないことの説明をすると、それがわからないからまた説明して…の無限ループ。
すっかり陽が暮れた。
というわけで遅くなったという説明が伝わるはずがない。
俺だってよくわからない。