背中が痒い小梅が孫の手を探す。
ゲーセンで獲った悪魔の手みたいなヤツ。
使ったら使いっ放しにするから見つからない。
『じゃあ、こっちを使え』
『全部で何本あるの?』
『4本かな』
『家に2本、車に1本、あと1本は?』
『会社で使ってるよ』
『えー?会社で使ってるのー?』
悪魔の手みたいな形状の孫の手なので、小梅としては“会社で悪ふざけ”なイメージなんだろう。
目がキラキラしてる。
『ムリカベも会社にあるよ』
『何でムリカベ?』
『仕事を頼まれたら「ムーリー」と言えるでしょ』
子は父の背中を見て育つとか、育たないとか。