最後の千円

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家の前の俺が車を停めているところに千円札が落ちていたらしい。

 

折り畳まれ方からして、俺が散歩の時に持ち歩いている財布から落ちたもののようなんだ。

今月は小遣いも使い果てて、だけどその財布に千円入ってるからどうにかなるわと思っていたその千円。

 

“落ちていたらしい”というのは、俺が気付いたわけではなく、アイータが仕事中の俺にLINEをしてきたから知ったことなんだ。

アイータも、ほぼほぼ俺の千円だと思っている様子で。

 

なのに、連絡してきた時にはすでにウチの親がラッキーとばかりにそのカネを持って刺身を買いに行ったあとだという。

 

それはもう誰が刺身を買いに行ったとかいう問題じゃなく、きっちり返してもらう。

アイータは『もしかして…』と俺のであることを示唆したと言うけど、刺身を買いに行くのを引き止めなかった時点で同罪だ。

 

奥さーん、きっちり払ってもらいますよ。