アイータの自転車がパンクしたという。
それはつまり、時間がある時に自転車屋まで車で運んで直してもらってという意味だというのはわかる。
だけど、たかだかパンクだ。
俺が直してやる。
というわけで、両手を真っ黒にしながら直したわけさ。
『自転車は?』
『直した』
『え゙ぇ゙…』
ボクはね、まず“ありがとう”だと思うんだ。
『「ありがとう」だけど、「え゙ぇ゙…」』と言い直された。
『前に2回も失敗してるじゃん』と。
確かにキミと結婚してからは【2回分の2回】で失敗率100%だ。
だけど、自転車通学をしていた高校生の頃をカウントすれば30回ぐらいは成功してる。
私、失敗しないので。
2回失敗してるけど、失敗しないので。
アイータは俺と俺の母親のことを『根拠がないのに自信を持っている』と常々言っている。
実際、今回は確実に直しただろう。
少しは信用したらどうだ?
あと、“根拠がないのに”は余計だ。