あの夏

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小梅は今日も学校だが、本来ならば夏休み中ということで、自分の中一の夏休みを思い返す。

まず、それがもう37年前だということにビビる。

小梅は俺が通った中学校に行っているが、今も変わらず自転車通学は禁止なんだ。
37年前の夏、部活に自転車で行ったことがあった。
当然、学校には行けないので、近くの空き地に停めて。

何日目かに仲間と何台か停めてたうち、俺のだけが鍵を壊されて盗まれた。

それから季節が流れ、秋も深まった頃、近所の不動産屋に俺の自転車が置かれているのを発見した。
間違いなく俺のだったので、突撃して返してもらった。

だけど、言いくるめられたんだよな。
『犯罪だろ、ジジイ』と思ったけど、禁止されている自転車で学校へ行った気負いもあったし、12歳の少年じゃどうにもならん。

それからまただいぶ時が経って、アイータと結婚するにあたってアパートを探していた時のこと。
不動産屋に行ったけど、中にそのジジイがいたんだ。
あの時もジジイだったのに、今もまだジジイとして生きていやがった。

結局、自転車のことには触れずじまいだったけどさ。

何が言いたいかというと、中一の夏休みの出来事は何年経っても覚えているということ。

でも、小梅はのちに記憶に残るような夏休みを経験出来ないんだ。
何もかもコロナ。