六本木純情派

会社に来た宅配便屋が俺の名前を呼んで『お久しぶりです』と。

誰?

名前を語ったけど、そいつのことは知っている。
記憶の中に顔もハッキリ浮かぶ。
でも、目の前にいるアナタのことは知らない。

マジマジと見たら『そうなのかな?』って気もしてきたけど、やっぱり記憶と違う。

思えば、20代の頃に会わなくなったきり。
タイムふろしきを被せて急に出て来られても、そりゃわからんわ。

時の流れって凄ぇな。
そして、やっぱりずいぶんと歳を取ったのだと改めて。