重くない。

高校二年生になった年の春、柔道部に新しい顧問が来た。
某大学の“ポイントゲッター”だったと主張してたが、実際はたいしたことがなかった。
最初にコケちゃうと顧問としての威厳がなくなるからだろうね。
『寝技は自信あるんだよ』って切り替えて俺に挑んできた。

悪いけど、俺、寝技はそこそこなんだわ。
な。

あー。
『強い』って言ってるんだから、強く来いや。

何かさ、“ドーン”と来るもんだと思ってたモノが来ない。
力抜いてんのか?

チョップを打つなら小橋のように。
ラリアットを打つならハンセンのように。
だ。

って思ってたけど、どうやら“俺がちょっと力持ちだった”ということのようだ。
そういえば、三沢は受け身の下手な奴にエメラルドフロウジョンは出さない。

で、たまたま“ちょっと力持ち”だったけど、もしもそうじゃなかったらどうなんでしょうね?