新入社員

俺はまぁ、その、寝てたワケです。
起きて腫れぼったい目で扉を開けて出たところ、見学に来てた大学卒の新入社員軍団とバッタリ。
課長が何やかんやと説明中。

特殊なウェアを着ないと入っちゃいけないところから普通の格好で出てきたため、気まずい空気。
仕事をしてるフリをしようとして違う扉を開けかけたら、そこも特殊なウェアを着ないと入っちゃいけないトコ。

『これは罪を重ねることになる』と途中で気付いたので扉をちょっと開けて、また閉めるという不可解な行動に出た僕ちゃん。

早く去らねばならないのだが、新入社員の数が多い。
廊下の角の“内側”に入ってしまったため、身動きとれない。
彼ら、一人々々丁寧に『こんにちは』と俺に御挨拶。

『フレッシュさはわかったから早く行け』だ。

そんな彼らも一年後には俺の給料を抜かすだろう。
『やってられない』と思うが、寝てたので『まぁ、それなりだ』とも思う。