1989

何と、高校の卒業アルバムが返ってきた。
卒業して間もない頃に人に貸したきり、いつか消息すらわからなくなってた。
そいつが先日の葬式に来てたのだ。

開口一番、『卒業アルバムを返せ』と。

返事はしてるものの、何となく、口約束だけで終わっちゃう空気だったので、ケータイの番号を交換。

その日の夜、家まで届けにきた。

何か、ずっと空いてた隙間が埋まった感じだわ。

ほら、『好きだったのは、どのコ?』
『うん、このコ』とか、やりたいじゃん。
んで、彼女が『かわいいコだねぇ』って、ちょっとスネるわけさ。
俺は『キミがいちばんさ』って甘く囁いたりしてよぉ。

あー、どうだぁ?

『おなか減った…』とか言いそうだ。