『なぁ、俺たち、まだやり直せるんじゃねぇか?』
『そうね、また二人で頑張りましょう』
そんな寸劇は今回はなしんこで、妻が帰ってきた。
アパートは実家のすぐ近くなため、妻のいない間、俺は実家に寝泊りしてた。
生活の匂いはしないのに、花に水をあげるだけのためにアパートに通っている俺を見て、隣の部屋の住人は不思議に思ったことでしょう。
『あらあら、新婚早々、奥さんに逃げられたのかしら』なんて。
聞かれたら、『一週間前に「買い物に行く」と言って出て行ったきり、帰ってこないんです』と返すぐらいの幅は持ってるのに。
久しぶりに会った妻は、あんまり体調がよろしくないらしいが、バッグから唐揚げが出てきた時点で嘘臭い。