アイータが妊娠中毒症で入院し、このまま治療が長引いたら給料日をまたぐことになって、支払いやら何やらでややこしくなるかもしれなかった頃。
入院費用とかもよくわからないし、もしや、死なれちゃうかもしれなかったし。
なので、『教えたくなかったけど…』という前置きのもと、『銀行のカードの暗証番号を教えようかなぁ…』だった。
ニヤリ。
アイータ、しらばっくれて俺の知らない銭を隠し持ってるからな。
それなのに、急に救急車で搬送され、急に帝王切開手術を受け、急に親になり、何だかんだで、そんな話どころじゃなかった。
あの弱ってる時に聞き出しておくべきだった。
俺がもともと使ってたカードは今はアイータが持っている。
何か、『俺のモノはアイータのモノ・アイータのモノはアイータのモノ』な感じだ。