小梅はまだ入院しているものの、五月人形は買おうぜというウカレた空気。
この手の話はいつも俺が置き去られる傾向にあるので、『現物を見ないことには話にならん』と、ウチの親が一目惚れしたものを見に行った。
話だけ聞いてると、えらくゴツくて立派な代物なんだよ。
何年か経ったら、絶対に『カビが生えた』とか『ゴキブリにやられた』とか言い出すくせに、凄まじいものを選びやがってと、俺は少々否定気味。
しかし鎧兜が男の心をくすぐるものだというのを、ここ数日実感しており、買い物に行っても、つい見入ってしまう。
そして、今日、実際に親が一目惚れしたものを見てみると、これは確かにいい。
俺が欲しい。
途中から親も合流すると、話がアチコチに行き、必要でない情報も織り交ぜながらの値引き交渉やら、鯉のぼりとの抱き合わせやらでスムーズさを感じない。
俺が嫁なら『私、この義母とはうまくやれないわ』だ。
この辺、アイータはたいしたものだと思う。