あと二年…あと一年…
と言ってたマサさん、本当にいよいよカウントダウンだよ。
定年退職というビッグな夢が叶う男がすぐ目の前にいるんだ。
なので、グループでお祝いしようぜということになったわけ。
マサさんは退職日までに残った年休を使いきるという。
となると、一月末日が実質最後。
とはいえ、最後に挨拶には来るだろうから、お祝いの品はその時に渡すことを考えてた。
『最後の出勤はいつなんすか?』
『一月の終わりだよ』
『いや、“本当の”最後は?』
『だから、一月の終わりだよ。
『え?挨拶とか来るんでしょ?』
『そんなの来ないよ』
『みんなで二列になって拍手で送り出したりするんじゃないの?』
『いや、そっとしておいて』
あらら、ならば、この土日に大至急買ってこなきゃいけないじゃん。
う~ん、定年退職も羨ましいが、『こんな縁が切れるトコ、知ったこっちゃない』というスタンスの去り方まで憧れちゃう。