巣立ち

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まだ産毛が抜けきれていないツバメが二羽、電線に寄り添ってとまってたんだ。

おそらく巣を出たばかりで、どこか不安気な様相。

 

しばらくアイータと二人で見入ってたよ。

これから小梅もどんどん成長して、やがては巣立っていくんだなぁと、ずいぶん先のことを思い描きながら。

 

時折、親がエサを持ってやってくると、口を開け、羽をバタつかせ、何とも嬉しそう。

 

『ごはん食べな』と一枚のコロッケを差し出すも腹が鳴ってしまい、『お母さん、食べてないんじゃない?』と子供に言われ、『ううん、お母さんはもう食べたから』と言う。

 

それが親であると思いたいわけ。

 

巣立ちの時、パティシエの夢を親があっさり砕くとか、もう。

邦衛でさえ、泥のついた札を。