幼少期に住んでいた家の隣のジイさんが亡くなったというので、焼香に行ってきた。
そこン家、ジイさんだけはあんまり話した記憶がなく、ただいつも穏やかな顔で漁用の網を結っていたイメージ。
遺影も記憶通りの穏やかな顔してたわ。
あの頃は今と違って隣近所まで家族のような付き合いをしていたようで、そこン家が新築する時には我が家に寝泊まりしていたんだとか。
いい時代だったんだな。
しかし、久々に顔を合わせた人たちは一様に懐かしがってくれるが、俺は説明を受けないと誰が誰だかわからない状態。
ずいぶん時間が経ったんだわ。
小梅も、やがては『オムツ替えてやったんだよ』とか『抱っこしたっけなぁ』とか言う“知らない大人”が現れるだろうよ。
その時、『いい時代だったんだなぁ』と思ってくれりゃいいけどな。