スライドの繰り上がりのトップであるザビエルは本業務のことはノータッチのくせに、やれ第二ボタンが外れてるだの、腕まくりがどうだの、指摘したがるわけさ。
いや、指摘するしか能がないんだろう。
それも有形のものに対してだけ、しかも全部後出しだから、そりゃ指摘しようと思えば100も200も出てくるわけさ。
指でなぞって『あら、埃があるわねぇ』と言う姑と何も変わらない、ただの老害だ。
それに反発すると、言いがかり度が明らかに増すからね。
というわけで、ボクちゃんは相当言いがかられてるわけです。
ただの判子を押してもらう時でさえ。
そんな中、ザビエルと二人きりの空間を過ごす羽目になったわけです。
言いがかられたくないので、第二ボタンも閉めたさ。
ずいぶんと無言の時間が過ぎたあと、『ずいぶん雨が続くねぇ』って、ザビエルが。
何ですか?
普通の話ですか?
そのあとも雨つながりで数度の会話の往復を。
俺、どうやら、もう言いがかられ隊のキミたちとは違う世界にいる。