…つづいた。
アイータは『ヨソの幼稚園の発表を見るだけでも感動しちゃう』とワケのわからないことを言ってるが、まずは自分の子供の心配をしたらどうだ。
おたくのお子さん、いつもしっちゃかめっちゃかですよ。
そうこうしてるうちに、小梅の幼稚園の出番。
困ったちゃん扱いで先生のすぐそばというせいで、ピアノの年長先生(園長先生じゃないと、何度言えば)は対極の位置なので、父ちゃんはそれが不満だよ。
その年長先生の伴奏で園児たちが歌い出す。
小梅、ちゃんとうしろで手を組んで、歌ってる。
家ではうるさいくらい大声で常に歌ってるくせに、幼稚園ではまったく歌わないのに。
どういうわけだか、隣の子が大暴れ。
だけど、小梅は動じずに歌い続け、その子が座り込んだら世話を焼くという余裕すら見せる。
こんなに上手にお利口さんだったのに、『おい、土曜日は音楽発表会だぞ』と言っておいたシルゾーは来ない。
俺はシルゾー長女の絵が飾られているというのも見に行ったし、次女の写真がプリントされた缶バッジも渡されそうになったのを拒否ったほどだというのに。