部屋の証明のスイッチ(ヒモのアレ)が引っかかるようになっちゃって、消す時にちょいとコツがいるんだ。
だけど、アイータにはそのコツが難しいらしい。
仕事中に『消せない』と連絡が来たから、『三味線屋の勇次みたいに“ピン”とやるのだ』と教えてやった。
結局、“仕事”をこなせずに、引っかかったまま諦めたらしい。
帰宅して俺もそろそろ寝るかという時、さっきアドバイスしたみたいに“ピン”とやったんだ。
誰も見ていないから、そりゃ、三味線屋勇次の艶っぽさを演じながらやるよね。
だけど、うまくいかない。
どうやら、今まで以上に引っかかり度が強くなったようだ。
翌朝、アイータに謝った。
『すまん、“三味線屋の勇次”じゃなくて、“飾り職の秀”だった』と。
細い棒を穴に挿すと引っかかりが解消されることが判明したのだ。
アイータは勇次でも秀でもどっちでもいいわとでも言いたげな顔で、『その方法は背が低いから届かないというか、新しいのを買おうよ』と、ごもっともな意見を言って台無しに。