バレンタインなのに“彼女”が家に来ないのかを聞いてみても、遊ぶ約束はしたというものの、時間もはっきりしないし、最近の話なのか、そもそも妄想なのか、小梅の話じゃ、さっぱりわからない。
とりあえず、午前中は用事のため出かけて、昼過ぎに家に帰る。
ポストを開けたアイータが騒ぐ。
とにかく、小梅にポストを見てみろと。
俺が放った『まさか、俺!?』という寸劇なんてどうでもいいから、とにかく、見ろと。
ポストには“彼女”からのプレゼントと手紙。
手紙には『これからも大好き』と書かれていて、こっちが恥ずかしくなるというか、疑問が膨らむ。
いいのか?小梅だぞ?
『おとうさんはこんな経験ないのに、何だろうね?』とアイータが勝手に俺がモテなかった認定をして走り出す。
俺を好きだったコたちは恥ずかしがり屋さんで、告白出来なかっただけだと言ってるだろう。
とにかく、ポストの中身を見た小梅を促して“彼女”の家へと走らせる。
そして、無事に一緒にバレンタインを過ごしたというわけさ。
俺もアイータに貰った。
『ありがとうございます』と言って、中身を見ずに冷蔵庫に入れたあたりで、アイータが『そういうところが…』と言いかけたけど、確かに“そういうところが”だと思った。