一年前、日付が変わった頃に連絡を受けたのでどっちだかわからなかったのだが、正式には今日が名古屋じいちゃんの命日らしい。
残された者は生活があるので時は進むけど、自分の親の時はこの一年がずいぶん長く感じた記憶がある。
実家暮らしだったし、明らかに家の中がガランとして、季節を一周するまでは変な感覚だったなぁ。
アイータが今日という日をどんな思いで迎えているのかわからないが、名古屋を離れて暮らしていることで俺の時とは違った感覚でいたりするんだろう。
夕食後、一匹の見慣れない虫が壁に止まっていた。
捕まえて外に逃がしてやろうとするが、飛んでいく。
アイータはそれを後ずさりしながら、上体を反らしながら避ける。
そして、冷蔵庫の角に後頭部をぶつける。
お義父さん、あなたの娘は相変わらずです。