『あそこのキャンプ場、良いらしいよ』と言って、去年行こうとして予約もしていたのだけど、台風か何かで中止になったようで。
支払った料金は金券という形で返ってきたらしく、その有効期限が今年の9月末。
そんな中、年明けに病気が発覚し、『ウチは行けなくなっちゃったから』と譲ってくれたんだ。
この夏、三回行ったキャンプのうちの二回は彼が行こうとしていたキャンプ場だった。
小梅は楽しんでいたし、俺とアイータも満喫したけど、ずっと引っ掛かりながら過ごしたのも確か。
本当なら彼の家族が楽しむべきものだったのだから。
そもそも、そこのキャンプ場は牧場と隣接していて何度か行ったけど、それも彼が入場券を譲ってくれていたから行けていたのであって。
お互いの子供を一緒に遊ばせたこともあったし、彼が子供といるところをカメラで撮ったりもした。
写真の中の父子はとてもしあわせそうだ。
ここのキャンプ場に行くことを楽しみにしてたのに。
なぁ。