8月に亡くなった彼のデスクを整理して、悪ふざけの道具がまったくなかったことに驚いたわけだけど。
唯一あったのが、シルゾー画伯が描いた絵の数々の原画たち。
『何で、ドナルドダックの足が4本あるんだよ?』とか、『十二支にネコが入ってるって、どういうことだ?』とか、怒られながら描いていた光景が鮮明に蘇る。
もともとは俺一人で対応していたシルゾーのポンコツさを分担してくれるようになって、俺がシルゾーから受けるストレスも減っていたんだ。
『「よくそんなに会話が続くな」と人から言われてきたけど、続かないから終われなかった俺の気持ちがわかるだろ?』などと、よく言ってたものだ。
この先ずっと、俺は一人でまた対応しなきゃいけない環境になってしまったんだよな。
この絵が“スフィンクス”だと言い張られながら。