去年の今頃は8月に病気で亡くなった彼を車に乗せて遠くの病院へ行ったんだ。
とても厄介な大病であることと投薬治療の内容は聞いてたけど、はっきりとした病名はこっちから聞くでもなく、あっちから言うでもなく。
ただ、ナビに設定した病院名がそもそも触れたくなかった病名を突き付ける。
あの頃は体調は良くなさそうではあったものの、わりと普通にしてたんだよな。
俺はどこまで触れていいのかわからず、それまでと同じように会社での出来事からの悪口とか、シルゾーのアレな感じとかを話したっけ。
次に病院に行く時はシルゾーを連れて来ようかという提案には『ストレスになるからいい』と言ってたけど、“次”はなかったんだよな。
治療を諦めたのか、楽観視出来る状況だったのかは知らなかったけど、後者であってほしいと願いつつ、それから半年後に亡くなった。
2月。
やっぱり、あの病院へ行った日の車中での会話を思い出す。