宿泊学習から帰ってきて迎えた朝。
寝ている俺に『おとーさん！』と話しかける。
『昭和で表記されているカレンダーが平成になっちゃうね』
何の話だ。
学校での出来事とかを聞いても『楽しかった』とだけ言って、あとは一方的に自分が言いたい関係のない話を語るのは日常だけど、今日のは特にわからない。
改めて宿泊学習の感想を聞くと、『すごく楽しかった！』って。
“すごく”が付いているので、よっぽど楽しかったらしい。
良かった、良かった。
こういう行事を“楽しくない”と感じてしまうと後々の人格形成まで引きずるからね。
シルゾーさんなんて『“楽しい”の意味がわからない』と言うし、こじらせて記憶すらないらしいからね。
楽しいと感じてくれて良かったんだけど、父ちゃんのいないところでそんなに楽しかったというのがちょっと寂しい。
