岸壁の母

日曜日だけど、小梅は部活の行事で電車で出かけた。
夫婦水入らずかと思えば、アイータはどうしても見たいと言って、東京ドームシティで開催されてる世界らん展へ。

ボクちゃん、一人。

自由なのに、家で味噌ラーメンを作って食って終わり。
あ、みんなの分らしく置いてあったツナマヨは全部食ってやった。

小梅とアイータの帰り時刻はほとんど一緒っぽい。
電車で帰ったアイータを駅まで迎えに行くが、小梅はそれには乗っていない。
1本後かと思えば、みんなとはぐれて会場に一人で残っている上に、電車の時間が合わないから迎えに来てと連絡。

普通、はぐれないよね?
っていうか、はぐれた子を放っておかないよね?

結局、電車で行く距離のところまで小梅を迎えに行く羽目に。

小学生の頃から変わらず手のかかるこの子がアホで可愛い。

事実と真実

事実と真実は違う。
俺は20代の頃からそう言ってたけど、長渕剛も言ってたね。
もっと言うと、事実はどんな馬鹿でもわかるけど、真実を見ることの出来る人は限られてると思ってる。

『は?一緒じゃん』『意味がわからない』と言う奴もいるけどね、それは『ボクは馬鹿です』と言ってるのと同じで。

こういう時、俺は馬鹿にもわかりやすいように殺人事件でたとえるんだけどさ。
【人を殺した】は事実。
【憎くてたまらなかった】や【殺されてもしょうがない奴だった】が真実だと。

そうすると、『だからといって殺していい理由にはならない』とか『殺したことには変わりない』とか、“たとえ”をたとえと捉えられない脳ミソを露呈してくるの。

俺たちはそんな世の中で生きているし、残念ながら“RUN”を聴いていたはずの剛ファンにも足りない人はいる。

まぁ、あぶり出しというヤツだ。

六本木純情派

会社に来た宅配便屋が俺の名前を呼んで『お久しぶりです』と。

誰?

名前を語ったけど、そいつのことは知っている。
記憶の中に顔もハッキリ浮かぶ。
でも、目の前にいるアナタのことは知らない。

マジマジと見たら『そうなのかな?』って気もしてきたけど、やっぱり記憶と違う。

思えば、20代の頃に会わなくなったきり。
タイムふろしきを被せて急に出て来られても、そりゃわからんわ。

時の流れって凄ぇな。
そして、やっぱりずいぶんと歳を取ったのだと改めて。

SHOW ME

去年の正月にチバテレビ男女7人夏物語を放送してたということは、秋物語も一年後に放送されるはずと構えていたら、やっぱり放送されたの。
正月特番を蹴ってでも録画した秋物語。

今日、やっと見終えたわ。
桃鉄と平行進行だったから忙しかったね。

当時は面白かった記憶で37年振りに見たけど、こんなにみんな余計なことを言って混乱させるんだっけ?ってくらい、登場人物が全員アレな感じだったね。
現実の明石家さんま大竹しのぶを知ってるだけに、最後も『良かったね』にならない。

もう遅いねや。

まぁ、そんなこんなで脳内ミュージックは全部“SHOW ME”なの。

真ん中もっこり

検討会だの何トカ会議だの、報告されたことについて良いだの悪いだのと審査員を気取って言うだけで何の生産性もないことを得意気にやってる連中を冷ややかに見てたけど。

そして、それが実を結んだということはなく、むしろ全部しくじってるんだから、“冷ややかに見てた”は合ってると今も思ってるけど。

どうやら俺はそこに迷い込んだ。

報告を受けた者がさらに報告して出世の足掛かりにするというのをみんな知ってるだろ?

いずれにしても、【報告すること】がメインになって、それだけのためにしかみんな動かないじゃん。
日本企業衰退の主要要因のひとつだよね、これ。

何より、報告するたびに宿題が増えていくのは何?
誰のため?

あの時

【過去のことを現在の倫理観で語るべきではない】

それは間違いなくそうだ。

だけど、どうだい?
『あの時、本当はイヤだった』と証明もへったくれもない“言った者勝ち”で溢れている。
それに同調すれば優しい人。
異を唱えれば非道。

まったく、ただただ気持ち悪い世の中だ。

あの時代の正義も塗り替えられるなら、教師たちはどう思って今を過ごしているんだろう?
当時から『俺のためを思って叱ってくれてる』なんて微塵も思わず、虫の居所だけで殴られてると知ってましたけど?

面倒くせぇな。
もう、みんな被害者だし、みんな加害者だろうよ。

それにしても魔法の言葉だよな。

『あの時、本当はイヤだった』

ドーナツショップ

小梅の部活絡みのイベント会場とアイータが行きたいというドーナツ屋が近いんだわ。

女子たちがインスタ映えだか何だかで騒いでいるだけで、絶対にあの大手の方が美味いだろ。

と、一文句は垂れるけど、結局連れて行ってやるというのを結婚以降続けてるのに、【一文句垂れる】というクッションが入るせいで『連れて行ってもらえない』に記憶変換されるらしい。

そんなこんなでドーナツ屋に連れて行き、購入。
俺も食ってみたけど、美味ぇぞ、これ。
あの大手より美味い。

妻よ、良かったな。
キミはまた連れて行ってもらえるよ。

外食(謎)

小梅ちゃん、明日は部活絡みのイベント。
そして、今日はその準備。

『夜は遅くなるから外食にする』とばあちゃんに宣言して登校したみたい。
明日の方が遅くなると思うし、明日の方が暴走出来るのに。

というわけで、いつもの夕食タイムよりも早い時間なのに外食。
小梅にそのことを触れると、『???』。
『俺、そんなこと言ってない』と。

思うに、ばあちゃんが提案という名の指示を出して誘導したか、小梅が空返事をしたかのどっちかで。
でも、どっちでもないらしい。

謎。

まぁ、外食出来たからヨシとするけど、『明日なら暴走出来たのに』は残る。

あ、ここでいう“暴走”は焼肉ね。

油っこいもの

スーパーで買い物中に伯母に会う。
シルエットが俺の記憶とは違ったので気付かなかったわ。

みんな歳をとって以前の状態とは変わってきてる。
食材も『油っこいものはいらない』と伯父に言われて選びにきたそうだ。

【油っこいものはいらない】

いつか俺も言うんだろうか。

確かに最近は『もういらない』がだいぶ早めに来ることが増えた。
“欲のあった自分の記憶”で食ってるだけで、それも通用しなくなる日がそんな遠くない未来に。

加齢には逆らえないが、【油っこいものしかいらない】の今を楽しんでいこう。